皆様、初めまして。
新規青年メンバーの真田です。
8月のブログ担当として、初仕事をさせていただきます。
さて、8月24日に開催された『
木の学校Ⅶ』に参加させていただきました。
大阪府建築士会 事業委員会 青年分科会と大阪木材青年経営者協議会の共催で、
50名近い参加者にお集まりいただき、活発な質疑応答や意見交換の場となりました。
当日のスケジュールは下記のようなものでした。
見学会、グループディスカッションなど、盛りだくさんの内容で、
参加者が受け身ではなく、積極的に関われる魅力的なプログラムでした。
◆スケジュール◆
第一部 大阪木材仲買会館見学
第二部 講演 西澤工務店 西澤 政男氏
テーマ「伝統的木材建築 技法について」
第三部 グループディスカッション
懇親会
まずは第一部。大阪木材仲買会館の設計コンセプトを、
竹中工務店の意匠設計、構造設計の担当者にお話しいただきました。
日本では2010年10月に『公共建築物等木材利用促進法』が施行。
衰退する国内の林業の再生をめざし、木造の公共建築物を
国が率先して作り、新たなマーケットを作る機運が高まっています。
大阪木材仲買会館はそのフラッグシップとしての役割を担い、
木材の魅力を発信する、都心に建つ大型木造ビルとして設計されています。
構造としては、RC造+木造の複合構造。
交差点に面した角地に建つ建物なのですが、
隣接する建物に面する北東面は延焼防止のためRC造、
道路に面した南西面は木造となっており、ガラス張りの開放的な外観です。
そして、木造の大型建築物を建てる際に避けては通れない問題が『耐火』。
竹中工務店さんはこの建物では『燃エンウッド』(もえんうっどと読むそうです(笑))
という自社開発の耐火集成材を採用されています。
外見はごく普通の木造集成材なのですが、内部に延焼防止のモルタルを配置し、
モルタルの耐火性をうまく利用した一時間耐火の集成材となっています。
当日、お話を伺った大会議室は木造ながら広々とした気持ちのいい大空間でした。
その大空間を支えているのはなんと梁せい775㎜の集成材の大梁!!
もはや部材サイズがRC造だねと、何とも不思議な気持ちになりました。
構造設計者にお話を伺うと、強度的にもRC造と集成材では大差がないとのこと。
これからの、木造の可能性を感じることのできる刺激的な見学会でした!!
木造の超高層建築物が可能になる日も、遠くないかもしれません!!
さて、続いて第二部。
滋賀県彦根に三代続く寺社大工の棟梁、
西澤工務店の西澤政男さんのご講演です。
柔らかい語り口で、飛鳥時代から現代までの日本建築の流れや、
日本の大工の美意識の高さと、それを実現するための細やかな技術の数々を、
惜しげもなく披露してくださいました。
構造を生業とする私には、高度すぎる部分も多かったのですが、
西澤さんのような寺社大工の棟梁の存在が、関西の建築の世界を奥深くし、
次の世代に日本建築の歴史をリレーしてくださっているんだなと、
感銘深くお話を伺いました。
ご講演の最後に、徳島県徳島市で現在西澤さんが手がけられている、
妙典寺本堂の新築工事の様子を写真で紹介していただきました。
ぜひとも社寺建築を作る棟梁自らの目線で、
建設中の実際の物件を拝見してみたいなあ~と贅沢なことを思いました。
そして、第三部。
いよいよ最後はグループディスカッションです。
木材青年経営者協議会、建築士会 事業委員会 青年分科会、
そして一般参加の方々をバランスよく10名程度の4グループに分けて、
一つのテーブルを囲む盛大なディスカッションの始まりです。
木材青年経営者協議会の方が座長となり、
全ての参加者が議論に加われるように目配りしていただいたおかげで、
30分と短い時間ではありましたが、活発な議論が起こっていました。
私たちのテーブルで交わされた議題は下のようなものでした。
建築士と木材の供給者との関係は近いようで遠くて、
お互いに知らないことがたくさんあるんだなあと感じました。
その道の第一線で活躍される方とお話しするのは刺激的でした!!
・ 木材の香りを長続きさせる方法
・ 香りのよい木材の種類
・ 木造建物の具体的なメンテナンスの方法
・ 集成材の接着加工方法
・ 日本国内で木材加工が盛んな場所とは?
・ どの県が木材への助成金が手厚いのか?
・ 外材の輸出が盛んな国とは?
・ 外国に輸出される高級木材の種類
残念ながら、最後の懇親会には参加できませんでしたが、
非常に五感を刺激される有意義なひと時を過ごさせていただきました。
ご準備された青年分科会の皆様、木材青年経営者協議会の皆様に、
改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!!